グッドラック 戦闘妖精・雪風 神林長平

 ここ数日更新してなかった理由はですね、クリスマスだから、鬱になって、一人寂しくケーキを箸で突っついてたとかそういう理由ではなくてですね、突然で、本当突然の話ですが、突然すぎて、どうも自分でも嘘臭いんですがね、先日突然ですね、もう、クリスマスですよ。今年の鬱の総決算ですよ。ええ、ええ、そいつを目前に腐っていたんですけどね、例によって。そんな中、突然ですね、バイト先の後輩がですね、まぁ、どんな風に言われたかは具体的には書きませんけど、「先輩のこと、ずっと前から好きだったんです」的なことを突然言ってきてですね、おいおい、どうするよ、と。いきなり突然にそんなこと言われたら、案外答えられないもんですね。現実には選択肢がでてこないし。セーブできないし。いや、無論、嬉しくないと言えば嘘になりますが、僕もパニくったり、嬉しかったりする半面、「あれだろ、どうせクリスマスだから、とりあえず、手近な男で済まそうっていう安易なアレだろ。知ってる、知ってる、この前SPA!でそんなん見たよ」みたいなクールビズ的感情とか、ここで俺が喜び勇んでオッケー出そうものなら、急に苦笑いで、「や、すいません、これ罰ゲームなんで、そんなマジになられても」って言うんだろ。リアルシャドーでやったよ、それ。みたいな被害妄想で凝り固められてるせいで、結局、はぁ、とか、どうもとかしか言えなかったんですがね、まぁ、そんなこんなで、とりあえず、クリスマスにデートすることになってですね、いや、何か突然トントン拍子に話が進みすぎて、自分でも一種の夢芝居みたいなものなのではないかと疑ってかかったんですけどね、で、まぁ、当然デートと言っても、僕そういうの知らないじゃないですか。しょうがないから、とりあえず映画かしら、キネマかしら。とか思って、童貞が考える当たり障りのないデートコース出現頻度、トップ3の一角映画館に行って、魍魎の匣観ましたよ。自分でもそのチョイスは、どうなんだろうとか思ってたけど、俺は観たくない映画は金をもらっても観ないという信念のもと、魍魎の匣。何だかんだでカップルで入ってる人達もいましたが、まぁ、一応、僕も今回ばかりは一人じゃなかったので、比較的上映前は大人しく観ることが出来たんですけどね、映画が始まってですね、その俺の隣に座ってる女性が、ビッチが、仮にビチ子さんとしますけど、ビチ子さんがですね、突然肘掛に置いてた俺の手をですね、そっと握ってきたわけですよ。あかんな、この女、馴れてるな、と。男というものの弱点を習熟しているな、と。俺を殺る気だな、と。もう、こうなったら京極どころじゃないですよ。いいよ、別に内容とか。いつかDVDで観るよ。まぁ、それで、映画観終わってですよ、ビチ子さんの顔見たら何か凄いケロリとして、何の屈託も無さそうな顔してるんですよ、こいつが。その後、まぁ、どこに行けって言われても、僕は何も知らない、知られちゃいけないし、相手はどこでもいいって言うんで、とりあえずマック行って、ゲーセンでUFOキャッチャーやったりクイズゲームをやるという高校生みたいな真似をして、顔では笑ってますけど、心中これで合ってるのかって冷や汗タラタラですよ。けど、クリスマスに居酒屋ってのもねぇ、何か違うじゃないですか、多分。小粋なバーとかも知らないしさ。そんなこんなで過ごしていたら、大分時間が遅くなってきて、ところで終電は大丈夫って訊ねましたら、「もう無くなっちゃいました」とか言うわけですよ。あかんな、この女、馴れてるな、と。男というものの弱点を習熟しているな、と。俺を殺る気だな、と。で、それから無言。互いに無言。何か喋るべきなんだけど、ほら、もう、そっから先は無いじゃん、辞書に。俺の辞書に。俺の辞書には「いたしかたない」と「本当の戦いは来世から」ぐらいしか載ってないから。捨てろ、そんなもん。で、どうしよう、じゃあ、都会の味方、漫画喫茶か。そうだ、漫画喫茶行って今月のRED読まなきゃ…………あれ? 多分違うな。で、そんなこと俺が考えてる間にも、無言。喋ろうよ。ほら、会話ってのは、情報の伝達以外にも場を和ませたりとか、色んな効果があるんだよ。とか思ってる俺も無言。状況は、明らかに俺待ち。老獪。この前のハチワンぐらい老獪。まぁ、僕もね、一応男の子なのでね。何食わぬ顔で女湯に入ろうものなら、即通報、即逮捕、即プリズン、みたいな立派な男なのでね。ここまで来たら、退かぬ、媚びぬ、省みぬ、みたいな姿勢で良いんじゃないかと。あと、冷静に考えたら、この台詞言った直後にサウザー殺られてたな、と。まぁ、そんなわけで、今年は人生で初めて家族以外の女性と、クリスマスの夜を過ごしたつもりが積もりに積もったつもり貯金がつまっている、豚の貯金箱スグル君を金槌で何度も何度もぶん殴って粉々に砕いて、中に入った金を全部ゲーセンの通信対戦型クイズゲームAnswer×Answerに費やして、この一週間あのゲームやってるカップルどもをひたすらぶっ殺してたからです。
 長えよ。無駄に長えっつーか、無駄しかねえよ。
 まぁ、ここ一週間はあんな他愛ないゲームに一喜一憂するカップルの一喜一憂を三喜七憂ぐらいにしてやろうという、俺の執念で塗り固められてました。現在、吉祥寺では、カップル狩りとして、恐れられています。実際、通信対戦なんで、相手がカップルかどうかはわかんないんですけど、プレイしているゲームセンターと得意なジャンルはわかるので、渋谷とか池袋辺りのゲーセンで、料理とか、音楽系のジャンルが強い奴は間違いなくカップルだと思って、全力でボタン叩いてます。劣等感だけが、僕の支えです。つーか、劣等感以外のモチベーションを持ち合わせていませんから、自分。ちなみに得意ジャンルはアニメ・ゲームなので、結果、魔法少女の格好した女キャラを使ってます。とっても気持ち悪いですね。
 あと、つもり貯金なんで、魍魎の匣はもちろん観てませんよ。絶対今の時期カップルいるって。無理だって、俺には。空の境界ぐらいが限界だって、俺には。
 まぁ、世間様から見たらデスね、そんな私はもう現実逃避してる廃人みたいな風に映ってるでしょうがね、俺の中では、これは俺と世界とのAnswer×Answerというインターフェイスを介した闘争なんです。
 そうした、僕と世間の意識のギャップをきっちり認識するためにですね、神林を読まなければならないってわけで、ツンデレ妖精雪風を読んだのです。いや、いい加減何でもツンデレって言うの辞めようよ。前作で、放置プレイをかまし雪風が、今作では、デレデレ。零無しでは生きられないっていうのは、確かにツンデレっぽいし、あるいは首尾一貫した論理から、自分と中に乗っている零ごと死のうとするのは、ある種ヤンデレっぽくもあるけど、さ。そうやって、ある種のイデオロギーに偏って本を読むとね、絶対本質を見失うから。いや、本質なんて、そもそも存在しないし、そうやって、読んだ方が面白いってのも確実にあるんだけどさ。それでも何でもかんでもツンデレってのは駄目だよ。そっから先に進めないよ。
 結論から言うと、自分というのは他者との関係によってしか存在できないが、それでも自分を究極的に定義づけられるのは、自分しかいないというお話でした。 
 だから、僕も、自信を持って、Answer×Answerを通じて、カップルへのレジスタンスを継続したいと思ってたのですが、この一週間でDS買えるぐらいの金を注ぎ込んだ結果、凄いレベル上がって、知人に、お前が今戦ってるレベルだとカップルでやってる奴はほとんどいなくて、もう廃人ぐらいしか残ってないぞという、凄く真っ当な突込みをされたので、もう辞めます。クリスマスも終わったし。
 そんじゃ皆さん、メリクリ。ついでに良いお年を。それとみんな死ねばよいのに。





 あと、今日の日記を読み返して、こいつに彼女ができるわけがないってのが、ごく普通にわかった。「言葉」でなく「心」で理解できた!