自由主義少女リベ子ちゃんA's

「リベ子ちゃん、リベ子ちゃん、大変だよー」
「あら、あなたは私の使い魔のラルじゃない。どうしたの、そんなに慌てちゃって?」
「また、説明的なセリフだね。そんなことよりこれを見てよー」
「なになに、部員の一人が女性に襲い掛かったせいで、連帯責任で出場辞退すべきか、どうか……酷い話ねえ」
「そうだよ! 襲った部員は確かに悪いけど、他の部員は何もやってないんだよ! 彼らは毎日毎日、学校で授業も受けず、朝から晩まで野球漬け。もう野球しか能が無いんだよ! 当然野球しかしてないから進学もできないし、就職も地元の工場とかがせいぜい。そんな虫けら程度の連中が人生で一生に一度輝けるのが、甲子園の舞台なのにそれを取り上げるなんて可哀想だよ!
「えっとラル…………あなた、高校時代に野球部員に苛められてたりした?」
「そんなことないよ! いじめられてなんかいないよ! あれはいじめじゃないから! ただのいじりでコミュニケーションの一環だから! ほら、僕だって楽しかったしさ! 本当に全然そんなことないんだから!!」
「ああ、そう…………。けど、実際頑張ってた子達は可哀想よね。彼らは真面目に野球に取り組んでいただけなのに」
「うん、僕もそう思ったんだ。だけど、乱暴な目にあった女子高生の気持ちを考えると、部員の一人がやったことなんだから、他の部員は出場して当然って、断言してしまうのも酷い話かなとも考えちゃうんだ……。ねえ、リベ子ちゃん、こういう場合ってどうすれば良いと思う?」
「慌てない、慌てない。私がとっておきの解決方法を考え出してあげるわ。ポクポクポクポク…………リベラル☆リベリラ☆シャランラー」
「出た! リベ子ちゃんの取りあえず言ってみた感が強い呪文っぽい何かだ!」
「全ての解決方法が見つかったわ、ラル」
「本当かい? リベ子ちゃん!?」
「触ったのは部員の中の一人だけだったわよね」
「うん、ニュースによるとそうらしいよ」
「じゃあ、答えは簡単よ。野球部員全員でその女子高生の身体を触りまくってから辞退すれば良いのよ
「凄いや! もう暴論ですらなくて、単なる暴言だよ!」
「だって、一人の部員が触ったから辞退するかどうかが問題になるんでしょ。全員で触れば高野連も文句無しに辞退させられるし、球児達も女体をまさぐれる。地区予選決勝で負けたチームも甲子園に行ける。誰一人損をしない、完璧なアイディア!
「触られる女性の立場が一切考慮されてないよ!」
「大丈夫、大丈夫。一回触られれば、二回も三回も変わらないって
「うわっ、今時オッサン向け週刊誌のコラムでも書けない様なことを言い出した!」
「ほんとだもーん。昔読んだ、AV嬢か風俗嬢のインタビューにそれっぽいことが書いてあったもーん。これで完全にノープロね! リ〜ベラル〜、トカ〜レ〜フ〜、キルゼムオ〜ル〜♪」
「終わった! ごく特殊な業界のごく一例を、世間ではまるで一般論であるかのように言い出して終わらせた! しかも具体的なソースは一切無し! 流石、リベラルだ!」


つづかない