WATCHMEN

 原作を読んでるか否かで評価が140度ぐらい異なる映画。
 ボクは読んでる派でした。
 リアルタイムでうねうね動くロールシャッハのマスクや、コミックではただの青い人だったDr.マンハッタンが、明らかにヤバい色で輝いていたりするのは一見の価値あり。
 以下、ネタバレ。
 ザック・スナイダー監督はアホみたいに忠実に作ったので、ラストのイカ爆弾がマンハッタン爆弾になった以外はほぼ一緒。けれども、全編伏線みたいなこの作品を頑張って3時間の枠に収めようとすると、当然はみ出す部分が出てきて、そこの部分が浮いたり浮かなかったり。具体的にはホリス・メイソンとか精神科医のおっちゃんとかラストに唐突に出るシーモアあたり。
 それは良いとして、原作を既読だと、これはあのシーンだねぇ。とか、セグウェイには載らないで歩くんだとか、話を再確認する以上のことは出来なかったのですが、観客を退屈させないようにするためか、原作では淡白に描かれていた、暴力シーンとエロシーンに力が入っててよかったです。
 ローリーの中の人が腰使いが無駄にエロかったり、全編通して、よがってるシーンが3回ぐらいあった。
 それとベトナム戦争でのマンハッタン無双は、凄かった。青白く発光した巨人がベトコンを指差してどんどん爆破していくのを観て、そりゃベトナム戦争も一週間で終わるわと納得しました。あと、マンハッタンの傍にいる人がちゃんと青く照り返されてるのも良かったです。あんな奴の傍にいたら癌になってもしょうがない感じが凄く出てた。
 コメディアンやロールシャッハ人間性がわかりやすく説明されてたのは原作を読んでない人にはよかったと思う。
 モーロックに向かって、俺の友達はお前ぐらいだとか言うコメディアンや誘拐犯の頭を直接カチ割って、あの時俺はロールシャッハになったなんて説明はわかりやすすぎて、どうかと思いましたが。あと、ロールシャッハの中の人が原作と較べて遥かにイケメンだったのは残念でした。
 原作のロールシャッハの、どんな奴が正体なんだろうと期待していたら、小汚い池野めだかみたいなコバックが出てきた時の、がっかりした感じが無くて、がっかりでした。あの頭のおかしい看板を持ってる姿もほとんど出てきませんし。
 既読の立場からすると「あっ、WATCHMENが本当に動いている」以上の感想は大してありませんが、それだけで充分楽しめましたし、冒頭のボブ・ディランの曲に合わせて流れるミニッツメンの人々の姿にグッと来た。モスマンが車に乗せられるシーンで泣いた。それと、ヴェイトのPCがちゃんと昔のOSになってたのも良かったですね。舞台は85年だもんね。
 映画を観て、まだ原作を読んでないって方は色々ストーリーが補完されるので、原作を読めば良いと思います。