文章を書かずに文章力を向上させる方法、あるいはダイエット。

http://d.hatena.ne.jp/nakamurabashi/20090425/1240669223
 こちらで書いてある方法は大体正しいので、これを実践すれば間違いなく巧くなることでしょう。しかししかしですがしかし、これを即座に実行に移した結果、一週間ほどして大して効果が出ないのですぐに投げ出すのが正しいボンクラの姿勢で、さらに訓練された真のボンクラになると、実践する前からめんどくせー、そんなもんより、寝っ転がりながら文章上達したりする方法ってないの? あと、お金が無限に湧いてくる貯金箱とかは無いですかね。無いですか。死にます。ってなってしまいますよね。俺だけ? あっそ。
 まぁ、ボンクラとしては形から入ることが何より重んじますので、『けいおん!』を観てフェンダー買っちゃったり、スト3でケンを使う時はウメハラカラーを選ぶような人たちの為に、とりあえず、俺が高校時代に学校で貰った国語便覧を観つつ、一切、鉛筆、ペン、キーボードに触れずに文書力を向上させる方法を考えてみたよ!


眠らない

 誰も寝てはならぬ
 偉い作家は皆寝ない。
 芥川も太宰も不眠に苦しみ、安吾は1日4時間しか眠らずに猛勉強してたら神経衰弱になった。
 かのように不眠は人間の神経を剥き出しにすることで、人を繊細に、敏感にさせ、これまでには書けなかった鋭い文章を書けるようにするのです。
 毎日フリスクをコーヒーで流しこむような生活を半年ぐらいすれば、今見てるものとは全然別の世界が開けますよ! 起きているだけでも効果があるので、起きている間は、大声でお経を唱えたり、ヨガに挑戦したり、DVDを借りてきてダラダラ観てれば良いと思います!
 あと、こんな生活を続けると体調も崩すし、胃もおかしくなるので痩せます。


筋トレ

日本には太宰治のような女々しい私小説を書く作家しか現れない。玉利さん、それはなぜだかわかるかい? 不健康、不摂生を重ねて貧弱な身体しか持っていないからだよ。ヘミングウェイを見たまえ。彼はプロのボクサーと打ち合うほど強靭な身体を持っている。彼には身体を鍛える美学があって、それが文学にも反映している。だからこそ、あの屈強な文体と作品のバイタリティが生まれたんだ。
三島由紀夫   増田晶文『果てなき渇望』より)

参考URL:http://d.hatena.ne.jp/psychologist/20080414/p1

 日本で最高の美文家の一人、三島・ハラキリ・由紀夫が言うんだから間違いありません。
 そんなわけで筋肉を鍛えましょう。
 一日腕立て伏せ、腹筋、背筋を五百回、ヒンズースクワット千回を一年間繰り返せば、貴方の肉体は鍛え抜かれた鋼の鎧と化すでしょう。トレーニングの後のプロティンは必須です。
 これだけ鍛え上げると、別に文章が多少下手でも大抵のことは筋肉で片付けられるので安心ですね。
 あと、筋肉が増えると基礎代謝が上がるので痩せます。


病気になる

 梶井基次郎に、堀辰雄。美文の作家には病気のイメージがつきものです。
 しかし、医学の進歩によって結核は当時と較べ治療が容易になり、さらにはハリセンボンの箕輪はるかによって、美男美女が山奥のサナトリウムで儚い命を散らていくというイメージは木っ端微塵に打ち砕かれました。
 結核はダメです。だからといって、癌はありふれているし、エイズケータイ小説によってチープなイメージがつきまとうし、何より重すぎます。
 こうなったら、最先端でいきましょう。
 そう豚インフルエンザです。
 豚インフルエンザを発症させて、さらにパンデミックの発生源となれば世間の人間は貴方の一挙手一投足に夢中です。そのような状況で文章を書けば、文章力に関係なく皆読んでくれることでしょう。
 あと、病院食は不味いので痩せます。


賭博に精を出す

 ドストエフスキー色川武大も博打に手を出して、色々えらいことにしてしまいました。
 物々交換の時代から続く、等価交換の原則を無視し、一時の興奮と引き換えに、大切なお金をドブに捨てるかもしれない経験は、通常の人生では得られないような感慨を貴方に与え、その感覚は文章を書く上で大変参考となる事でしょう。
 どうせやるからには、小遣い銭をパチンコでチビチビ溶かすぐらいではなく、家に土地を抵当に、女房を質に入れるぐらいの勢いでやりましょう。
 あと、お金がないとご飯が食べられないので痩せます。


薬物に手を出す

 ジャンキーのバロウズを初めとして、コクトーは阿片、ディックはシャブ、乙一マジックマッシュルーム。薬が
文章に与える効果は絶大です。
 通常の生活では発生し得ない脳内物質は、貴方の言語野に重大な刺激をもたらし、エッジの効いた文章力が手に入るはずです。リュースィーインズァスカァイウィジュダイアモンジュ。
 手に入れるのが困難や法に触れるというデメリットがありますが、文章を上達させる為なら些細な事です。
 あと、クラスメートのSさん(17)が「最初はー、軽い気持ちでー、友達に痩せるからやってみなよーって勧められたんですけどー(略)」とのたまってたので痩せます。


死ぬ

 どんな人間でも死んだら下駄を履かせて、高く評価してくれるのがこの国の良いところです。
 アル中の人間だって死んだ後は、「お酒さえ飲まなければ良い人だったのよねぇ」みたいな、根本の問題から目を背けたような擁護をされるものです。
 詩人である、宮沢賢治石川啄木も死後評価され、海外でもフランツ・カフカなんかが死んでから評価されました。死んで花実は咲きませんが、死んでから評価されることもあるので、世の中はままならないものですね。
 あと、死んだら魂が抜けますので数グラム痩せます。


結論

 そんなに文章上手くなって、どうするんですか?
 小説を書く?
 山田悠介がベストセラー作家に名を連ねていたり、ケータイ小説が売れてる現実を御覧なさいよ。文章力なんて小説にとっては些細な事ですよ。
 自分の文章を多くの人に読んでもらいたい?
 ブックオフで百円コーナーに置いてる自己啓発本を買ってきて、適当に自分の経験談として持ち出せば、大量にブックマークされて読まれますよ。
 仕事や勉強で必要?
 そのいった文章はレトリックよりも、文書としての構成がしっかりしてることの方が大切です。そういうのはちゃんとした書き方の本を読んで学んだ方が良いですよ。
 他人に気持ちを伝えたい?
 口頭で言え。
 近所に住む中国人の李さんは「ニホンノホウリツヨクワカリマセン」「ワタシオナカスキマシタ」の二つさえ喋れればどうにでもなる。って言ってました。
 日本語なんてそのうち亡びるんですから、文章力なんていうちんけなもんにこだわるよりも、喋れる言語を増やした方が遥かにマシですし、そうでなくとも、多少文章が上手かったりするよりも、可愛い女の子の絵が描けたり、小粋なジョーク(「隣にモビルアーマーができたんだってね」「ビグザム」)を言える方がよっぽど有意義に生きられますよ。 
 そんなわけで僕も、先日買ったばかりのレスポールでギターの練習にしゃれこもうと思いましたが、いつまで経ってもFコードが押さえられるようにならないので、ムカついて辞めたぜ。ファック。