文学フリマで同人誌とか出します


Q.ねえ、はてな文壇って何?



A.知るか


 というわけで半年前の伏線を華麗に回収して来るべき第十五回文学フリマに参戦決定ですよ! 当然宣伝ですよ!
「ファック! 宣伝のためだけにblog書く奴とか死ね! 日頃はblogなんぞ全く見向きもせずに、twitterで散発的に呟くしか能がないくせにこういう時だけ嬉々として更新。かつてはあれほどまでに唾棄していたコマーシャリズムを己のblogに持ち込むとは、この変節漢め! 宣伝のためにしかblogを更新しないような奴にはアメブロがお似合いだぜ! こんな奴らばかりが増えれば、そりゃはてなだって日記にペタペタ広告を貼り付けるようにもなるもんだ、ファック!」
 みたいな批判が聞こえてくるような気がしないでもないが、実際に同人誌を作ってしまったのだからしょうがない。あとはてなが広告を貼る様になったのは俺のせいじゃない。
 まあ、作ったと言っても実際の作業、即ちメンバー集めに始まり編集作業から外部折衝に至るまで、同人誌製作に必要不可欠な工程は全てid:harutabeが務めており、製作総指揮、監督、脚本、配役、その他諸々全て奴の仕事であり、僕は原稿を書いて提出しただけなのですが。
 そんなわけで今回僕は消費社から出される『The Last Wannabies』*1なる同人誌のため「動物村落」という寓話を書きました。
 WEB上に存在する架空のコミュニティを舞台に、村長(ビッグ・ブラザー)と呼ばれるヨークシャーテリアが村民の動きを二十四時間監視し続け、シロクマがオタクや若い村民の自意識をペロリとたいらげ、猿や猫がネトウヨニセ科学信奉者を次々に粛清していく退廃的な社会を描いたディストピア小説です。
 そうして執筆作業に約三ヶ月費やし、

 かくして反省会という名目で、村内の不穏分子を取り除くことに成功したはてな村上層部。その成果に満足した彼らは昼夜無く宴を開き、酒をあおっては歌を唄い、火を囲んでは踊り狂った。だが、その半年後超巨大都市ブロマガの襲来がきっかけとなり、村がダムの底に沈むことになるとはこの時誰も予想していなかった……。

 と、原稿用紙換算にして400枚ほど書いたあたりで、「果たして俺はこんな一部の界隈にしか通じない、内輪受けする文章ばかり書いていても良いのだろうか? もっと他に書くべき物語があるのではないだろうか? あと訴えられたら証拠がはっきり残るし多分負けるんじゃないかな」と思い至り、急遽別の小説を書き始め、「タイムマシンの熊」という格闘家と熊が戦うだけの物語を送りつけたら、「お前の話は地味だし女の子出ないし無駄に長い」と言われたので、やっぱ「動物村落」送っときゃ良かった! あるいは「紳士の異常な愛情  または私は如何にして無課金のままでイヴ・サンタクロースを手に入れたか」とか書き殴っときゃ良かった! と思わず歯軋りしてしまったけど、書いてしまったものは仕方がない。
 まあ、僕の小説はいいじゃないですか。他の参加者の話をしましょう。
 前回の話では、僕とid:harutabeこと春巻食べたとid:wonder88こと握力のスリーピースでやっていく予定だったのですが、例によってまったくやる気を見せなかった僕と握力を尻目に、スプリングロールの野郎がせっかくなので色んな人を集めようとした結果、こんな面子が集まり合計十名の大所帯に、しかもどさくさに紛れて「はてな文壇」なる謎の存在を捏造する始末!
 大体文壇といっても、今回の参加者達に徒党を組もうなどという意識などあるかどうか疑わしく、どいつもこいつもこの人類総SNS時代に、blogを通じて他人と繋がろうとするわけでも小銭を稼ごうとするわけでもなく、ただただ自分の好きな文章だけを書き続ける「われらを花にたとえるならば、人も通わぬ山奥に咲いた紅葉の心意気!」*2みたいな面々である。僕のようなミッキーマウスのようにフレンドリーな男はともかくとして、彼らのようなトラックバックを送るのすら躊躇われるような狷介不羈な男達に声をかけ、さらには小説を集め同人誌としてまとめた編集長は本当大したもんである。「はてな文壇の完全総決算だ!」などという気の触れたコピーは置いておくにしても。
 これだけの面子がこれだけ集まったらページ数も当然ヤバいことになり、同人小説誌としては異例の324Pの大ボリュームである。
「それだけ厚いとお値段もさぞかしお高いんでしょう」みたいなことも言いたくなるが、なんとお値段は500円ポッキリ。ページ単価約1.5円! コスパ的には今回の出展サークルの中でもトップクラスであろう。
「いやだからさ、同人誌ってのはコストパフォーマンスじゃなくて内容で勝負するもんなんだからさ。コスパを売りにしても意味が無いの。コスパが重要視されるんだったら、ペラい鉛筆書きのコピー本にうん万円の値段がついてやり取りされるわけないでしょ?」といった意見は当然無視します。
 ちなみに今回の文学フリマに向けて春巻編集長は明らかに正気じゃない部数を刷っており、刷り部数を聞かされた参加者一同ドン引き。その中の一名が「それ……売れ残ったらどうするんですか?」と勇気を出して訊いてみたところ、「部屋が狭くなるから燃やす」という大変ロックな答えが返って来たので、「ああ。同人誌を作るというのは、一人の人間からこうも正気を奪ってしまうものなのか。やはりこの連中から原稿を集めるというのは大変な重労働だったのだなあ」などと実感しました。その後も「最近は印刷でトラブルが起きる夢や当日揉め事が起こる夢ばかり見る」「近頃キシリトールガムのボトルを一日一本消費してるので、もうずっとぽんぽんの調子が悪い」「結局のところ絵が描けないオタクはゴミなんだよ! 俺はこれから5年掛けてコミケの壁サークルを目指す!」などなど色々アレなことを言い出し始めたので、こりゃ二回目は無いな。と確信しました。
 よって、これが滅び行くはてなの中でも一段とピーキーなボンクラによる最初で最後の同人誌です。
 ちょうど一週間後の11月18日、東京流通センターで皆様のご来訪をお待ちしております。
 ちなみに当日は僕の誕生日前日なわけですが、「誕生日おめでとうございます」とか言われると「いや、別にめでたくも何ともないんで……」とか言い出して凄く面倒な空気になるよ! あと最速チケット取り逃して本気で涙目になったので、ヱヴァQのネタバレをする奴は問答無用でぶん殴ります。椅子で。
 そんなわけで、よろしくねー! ばいばーい!

*1:酷い名前だ!

*2:(C)覚悟のススメ