ヱヴァQの話をしよう

 ネタバレ怖いネタバレ怖い。だったらネタバレされるよりも先に見て俺がネタバレしちゃえばいいじゃないというわけで、ヱヴァQを見てきました。
 以下ネタバレ。
 前回のラストで、凄いこれはもうシンジ君じゃなくてシンジさんや!ってなった。シンジさん! マジ男前や! 今回もいきなり冒頭から大ピンチのアスカを助けてマジイケメンや! しかも目が覚めるや否や「自分ヱヴァに乗るッス。ガンガン攻めるッス!」とかぬかして、シンジさんマジハンサム!…………と思ったら、ミサトさんがろくに説明もしないまま「あんたヱバー乗らなくていいわ」とか言い出すし、いきなり14年経ってるし、無駄に存在感のあるハゲでヒゲがクルーにいるしで、もう最悪ですよ。いったい何がどうなってるんだよ、おい。と思ったら、シンジさんが「何が起こってるんですか」みたいなこと言ったので、流石シンジさんだ! 観客の気持ちがわかってる。と思ったけどミサトさんは何も言わない。
 お前らさあ、もっと気を使えよ。シンジくんだって、「あれ、あのベリーショートの人ってほくろの位置から察するに多分リツコさんだよな、あの髪型どうしたんだろう、イメチェンかな? それにしてはザックリいきすぎだよな、きっと深い事情があるのかもしれないし今は黙っておこう」ぐらいの気は使ってたよ。14歳の少年が14年間浦島太郎状態なんだから、もうちょっと色々説明してやろうよ。それなのに、「あんたエバー乗らなくていいわー」のあとほぼノー説明ですよ。式波さん(眼帯)も28歳なんだから、ガキシンジとか見下してないで何かこう大人の余裕とかそういう感じのあれをですね。誰一人人間的成長してないよ! 14年間何やってたの、この人達!
 あと、船がかっこよかったですね。あのまま月に行ってアークエヴァンゲリオンになるんじゃないかとワクワクしてました。クルーの人もグレンラガンっぽかったですよね。 
 で、そんなディスコミュニケーションの末、案の定ネルフ側にさらわれていくシンジ。そりゃ、目の前に綾波が来たら、そっちについて行くよ。けどこれって
綾波はサルベージできなかったけど、ネルフ綾波のクローン作ったよ。だから、綾波がやってきてもシンジくんの知ってるレイとは別人だからついていったらダメだよ」
 の一言で解決できた問題じゃないですか。お前ら本当にさー、説明とかさー、いい加減なー。
 で、ネルフ戻ったけど、綾波はモグ波並に無感情だし、14年振りに会った親父はオプティックブラスト発射しそうな変なバイザーつけてるわで、酷く居心地が悪い。
 綾波さんはもうちょっとムチムチして、あの小屋の前で男子高校生が列を作っていたりすると、よりモグ波っぽさが増して良いと思います。
 そんなところで出会ったのがホモ。一緒にピアノを弾きたがるホモ。一言一句が全て性的な意味を含んでるようにしか見えないホモ。甘い言葉で弱ってる男の子のハートキャッチするホモ。けど他に会話が出来る人がいそうにない。
 しょうがないんで、ホモと一緒にピアノを弾いたり、ホモと一緒に星を見たり、ホモにウォークマンを直してもらったりと二人の絆が深まっていき、それによってシンジさんに貞操の危機が迫る! シンジさん大ピンチ! と思ったら、ここでこの14年間で何があったの? と真相に切り込むシンジさん。
 そうだよ、よく訊いてくれたシンジさん! 観客もそれが知りたかったんだよ! 流石シンジさんだ!
 で、カヲルくん曰く、「14年前のあれでサードインパクト起こって人類ほとんど死んじゃった」とかとんでもないこと言い出しやがってさぁ。えー、何かお前前回のラストでメルトダウン起こしそうになった初号機に冷却棒突っ込んでたじゃん、「今度こそ君を幸せにする」とか意味ありげなこと言ってたじゃん。それが何よー、結局サードインパクトかよー。と思ったら、それを聞いて「いや、そんなの僕の責任じゃないし」と急に現実逃避するシンジさん。
 戻ったああああああ、もうこいつはシンジさんじゃねえ、シンジくんだっ! あのふてくされ中学生のシンジくんが帰ってきたあああああああ!
 もう嫌な予感しかしない! この映画から嫌な予感しかしない! この映画は既に俺が期待していた破の続編という形式から大きく足を踏み外そうとしている!
 みたいなこと思ってたら将棋に誘ってきた冬月のお爺ちゃん。
 駒落ちのハンデをくれたり、それでも勝負が成立しないと見るや崩し将棋に路線変更しつつ、「お前の親父はろくなことしてないけど、お前のお母さんのために一生懸命なんだよ。あいつなりに色々思うところがあるんだよ」と凄くまともなアドバイス
 これだよ! こういうのがエヴァに一番必要だったんだよ! こういうちゃんとした大人がいればシンジくんだって、ちゃんとやっていけたはずだったんだよ。
 ミサトさんたちもシンジくんを無視して戦闘準備しないで、ゲームでもやりながら「ほらシンジくん。14年前と違って今のマリカーにはキラーっていう凄い一発逆転のアイテムがあるのよ。あと話は変わるけど、お前のせいでサードインパクト起こって人類壊滅したよ」とか言えば、シンジくんだって小ゲロ吐いて半年間鬱で寝込むぐらいで済んだし、ヱヴァには乗ろうとは思わなかったはずだよ。艦長呼ばわりされて調子乗ってる場合じゃないよまったく! やっぱこのアニメまともな大人が少なすぎるよ!
 で、まともな大人がいないので、ホモの言うがままに地下深くまで槍を取りに行くシンジくんとホモ。
 そんで、槍を見たら、あれ、これ何か違うとか言って黙りこくるホモ。
 だからさー、お前がここで「あの槍は僕が聞いていた話とは別物のようだ。何かの罠かもしれない。ここは一端引き返そう」って言えば済んだじゃんよー、何で口に手を当てて黙ってんだよ! もっと積極的に止めろよ! 結局お前らがもっとコミュニケーション取らないのが全て悪いんじゃんよー。お前らのコミュニケーション不全で全てがブレイクダウンしてるよ。その後もホモがろくに行動をせず、わけのわからないことばかり呟いていたら、シンジくんが「何言ってるかわからないよ!」とか叫んだので、今回のシンジくんマジ観客の代弁者。
 その後色々ファンネル飛ばしたりの小競り合いがあって、腕が増えて槍引っこ抜いて、ホモの首が吹っ飛んで、式波(28)がトリプルセブンとかパチンコの確変っぽいことを言って、最後は、シンジ、式波(28)、レイの三人で「俺たちの戦いはこれからだ!」でつづく。そして次回予告であしゅら男爵と化したエヴァ二号機を見せられた後の観客席全体に漂う「何だったんだこれは……?」という雰囲気。
 破の時はなー、次回予告で観客どよめいて、自然と拍手が沸き起こったし、何か複数で来ていた人達が皆興奮しながら語り合っていたのに、今回はキツネにつままれた感じですよ。おかげで判断力を失ったまま店員の言われるがままに1500円の方のパンフレット買っちゃったけど、まだ開けてもいないよ!
 なんだろうね、まあ式波(28)とコネメガネさんはあしゅら男爵になったので、首が吹き飛んだホモの人はブロッケン伯爵ポジションとして、頭を抱えて再登場すればいいし、今回出番のなかった加持さんはゴーゴン大公ポジションとして、上半身を虎に移植すればいいんじゃないでしょうか……ってかさー、俺の見たかったやつじゃなかったのー、これー。
 前回の予告で

レイとシンジを取り込んだまま凍結されるエヴァ初号機。 廃棄される要塞都市。幽閉されるネルフ関係者。ドグマへと投下されるエヴァ6号機。胎動するエヴァ8号機とそのパイロット。ついに集う、運命を仕組まれた子供達。果たして、生きることを望む人々の物語は、どこへ続くのか。

 みたいなこと言ってたのに、全然違う話だったじゃんよー。ホモとピアノ弾いてただけじゃんかよー。
 予告で山に登ったり、マリが意味ありげにメガネ外してたり、綾波の後ろに小さい綾波がいたり、加持さんが銃を構えていたりしたのはどうしたんだよ!
 山は出ないわ、マリは後ろでヒメヒメ言いながら、ペダルをこいだり援護射撃したりするだけだし、綾波は六割モグ波だし、加持さん出てこないじゃん! 返せよ、俺が破を見て感じたワクワクを返せよー!
 とか叫んでいたら突然現れたおっさんが「若いの、お前さんは知らないかもしれないがな…………これこそが『エヴァ』ってやつなんだよ」とか訳知り顔で言ってきたので、殴りました。灰皿で。
 そんなわけで、明日の文学フリマにて、オ−41の消費社ってところで本を頒布してるはずなので皆さんよろしくお願いします。
 ヱヴァQ? 知らんよ、そんなものは。