結局買うか買わないかの問題だよね。

 ニコニコでアニメのアップロードうんぬん削除うんぬんで色々話が盛り上がってるのだけど、これらの論争を見て、私の好きなこんな句を思い出した。

法律も ウェッブルールも クソ喰らえ 俺が嫌だと 言っているんだ

 この句は、とある俳人が自身のHPにアップしたイラストを無断で個人用のTシャツにプリントされた際に、その時の無念と憤怒を詠んだ句である。わざわざウェブをウェッブと発音して七五調を作り出す辺りが憎らしい。思わず「やるじゃん」とか言って肩を小突きたくなる。ちなみに風の噂によればこの俳人、今ジャンプでBLEACHという漫画を描いてるとか描き殴ってるとか。
 閑話休題
 権利者が何故動画を消すのかと言えば、最終的には上の句で言っていたように、嫌だからである。それどころか上の句と違って法律を遵守している分、その主張は遥かに真っ当だろう。
 無論、何故嫌なのかという理由は、金が絡んだり、利権が絡んだり、色々複雑になっているのだろうが、最終的な決定権はあくまで著作者にあるのだから、彼らが削除を申請した事に対して、我々は何も言う言葉を持ち得ないはずである。宣伝になっていようが、数日前にタダで放送していようが、観られない地域があろうが、そうした諸々の判断は、権利者によって為されるべきであり、そうした上でアップされる事を好ましく思わなければ、違法にアップロードされた動画は消されざるを得ないし、アップする連中は疎まれもするのだ。


 http://d.hatena.ne.jp/pmoky/20071028/p1
 また、それと同時に、ここの意見もある程度の正当性を保っているように思える。
 別にニコニコにアップすることで、DVDの売上げが増えるかどうかは現時点で判断するのは時期尚早であろう。
 しかし、単に今のところのアニメの収益がDVDの売上げに依存しているようであれば、こうした行為が市場に何らかの影響を与えるかもしれない。ここで大切なのが、違法アニメを消す消さないの権利を著作者が持っているように、DVDを買うかどうかの権利を握っているのは、あくまで消費者側である。
 だからこういった行為をするのは、決して悪い事ではない。少なくとも不買運動をする正当な権利が消費者側にはある。
 だから「ニコニコ〜買うべきじゃない」という意見をアニメ業界全体に適応しようとするには大分苦しいものがあるが、(ニコニコでアニメを観る層にとって)ニコニコから消されるアニメのDVDは買うべきじゃない。と考えるのはごく当然の論理の帰結になる。そうなれば、今まで通りにニコニコでアニメを観る事ができるのだから。
 それにこの意見の通りに行動する場合、逆説的に考えれば、ニコニコにアップされていて、面白かったDVDは積極的に買っていこうという話になるのだから、理想通りに事が進むとすれば、なかなか悪くない考えなのかもしれない。共産主義だって話だけ聞くなら悪くない感じがしたものだ。
 結局のところ、現時点で我々は互いが持っている権利を各自適用するしかないのである。
 「ニコニコなんか宣伝にならない。むしろDVDの売上げ減少の原因だ」と権利者が考えるなら、それは結構、ガンガン動画を消せば良いし、時として法的に訴え出るのも良いだろう。無論そうした場合にイメージが悪くなるも承知した上でだが、何にせよ、それを恨みがましく思うのは筋違いである。
 逆にニコニコに流されることが宣伝になると考えるなら、黙認するのも一つの手であり、それで成功してるように見える例もいくつかはある。実際はどうだかわからないが。
 そして、消費者は好き勝手に買えば良い。ニコニコで消される動画は買わないという選択肢を持つ事に問題は無いし、そんなこと気にせずに、普通に買い求めたってよい。
 何にせよ、我々消費者側に出来ることはDVDを買うか買わないかの判断でしかない。宣伝になるだとか、ビジネスモデルがどうこうだとかの問題は、あくまで製作者側が考え判断するべきだ。最終的にその判断の責任を負うのは我々ではなく、彼らなのだから。
 ただ、もしあなたが心から良いと思う作品があって、今後もそのスタッフあるいは製作会社の作品を観続けたいと思うなら、blogや掲示板などでゴタゴタ言わずに、黙ってDVDにお金を払うしかない。
 現時点では、それが彼らに対して出来る、さほど冴えてはいないが、たったひとつのやり方なのだから。無論、広告代理店やテレビ局に就職して、内部から改革するなり、起業して新しいビジネスモデルを開拓していくなら、その限りではないが。