読書感想文よりは有効だと思われる文章訓練法

http://koerarenaikabe.livedoor.biz/archives/51227998.html
 小学生の頃、読書感想文が嫌いで嫌いでどうしようもなくて、当時あまりに書けなかった苦しみにより、どんな本を読んでも、「けど、こんな本を読むぐらいなら、ビールを飲みながら、ビーチでナオンのパイオツを眺めてる方がよっぽどマシな人生だぜ、全く」みたいなことを思ってしまう病気にかかってしまい、大変嘆かわしい事なのだが、それはどうでもいい。
 昔の俺は、虫より頭が悪く、文章を逐語的にしか解釈できなかった為、感想文に書く際の文章の持ち合わせが「おもしろかったです」「つまらなかったです」「とくに何も思いませんでした」の三つしかなかった。小学生の作文でありがちな、「何故、こう思ったのかというと〜」というのは感想ではなく説明だから、感想文に書くのは不適切だろうと思い込んでいた。
 それと良く似た理由で、自由研究も全くできなかった。「研究」の意味が未だによくわからない。
 しかし、当時の俺の頭の悪さは棚に上げるとしても、感想などという抽象的なものを一定の文字数以上求めることに、どのような意味があって、どれだけ有効性があるのかははなはだ疑問だし、中途半端に生徒の自由な発想を尊重しようとして、これといった書き方の指示も与えず、感想を書けというのも酷い話だ。感想それ自体は誰にでも書けるだろうが、一定の文字数以上に文章を連ねるのは、ある程度の訓練が必要なはずである。
 そういったわけで、読書感想文などという愚にもつかぬものを生徒に強要するような教師には、有無を言わさず、そいつの母親とファックしてやろか、とか思ってしまうのだが、何の対案も出さず批判ばっかしてもしょうがないので、文章力がつくであろう訓練法を俺が考えた。


 まず、初めに好きな本を用意する。好きな本は何でもいい。文学作品でもエッセイでもライトノベルでも官能小説でも、場合によっては好きなblogの文章でも良い。
 電話帳や時刻表情報が羅列されてるだけのものや、写真集や漫画とか、文章以外の視覚情報に頼った媒体は流石にまずいが、基本として、日本語で一定以上の文章が書かれていれば、何でも良い。本人のやる気の問題が関わってくるので、好きな本であるのが望ましい。
 次に、用意した本を読む。別に難しいことは考えなくて良い。考えても良いけど、考えなくても特に問題は無い。
読み終えたら、しばらく時間が経つのを待つ。記憶力にもよるが、三日ぐらい寝かせるのがベストかもしれない。
 その中で、印象に残ってる場面を選ぶ。主人公が狼に襲われて必死で逃げている場面でも、探偵が謎解きをしている場面でも良いし、あるいは男女がバーで気の利いた会話をしているところなんかでも良い。
 そして、選択した好きな場面を、本を見ないで、実際の文章をなるべく忠実に再現するように書くのである。
 おそらく、大方の人間は書かれた文章を一字一句覚えるなんて真似は出来ないので、自分で新たに書き起こした文章は、実際の文章と遥かにかけ離れたものになるであろう。それでいいのである。そして、書きあがった文章と、実際の本に書かれていた文章を較べてみる。
 そうすると、自分の文章と好きな作品の文章が、対比され、自分の文章に足りなかった部分、文章の流れ、間、語彙の選択の癖などが浮き彫りになる。とりあえず、自分の文章で作品の文章で違ったところに赤入れしてみよう。別に記憶力のテストでは無いので、どこが違ったのかを必死で覚えようとする必要は無い。
 何となく眺めて、ここが違ったのかぁ程度で充分である。
 それからまた三日ぐらい時間を置いて、またその場面をもう一度書いてみる。そうすれば、前回よりはオリジナルに近い文章が書けるはずである。
 ある程度、本物に近い文章が書けるようになったら、別の場面や、別の作品などでも試してみると良いだろう。
 文章力というのはとどのつまりは、自身の考えている事や知っている事を言葉に変換する能力のことである。
 だから、文章力をつけるためには自分が知っている事や考えている事を書くようにしなければならない。そういった意味で、一度読んで抽象化されて頭にストックされた情報を、再び文章に再変換するというのは、実際に文章に書く際の他人の思考の流れを追えるという点もあって、有効なはずだ。
 また、この手法はある程度文書力がついた人でも、他人の文体を知る際には結構有効なはずである。
 これと似た訓練法に、好きな作家の文章をそのまま写経するというのもあるが、その場合、あまり長々と続けると、何も考えずに手癖で書いてしまう恐れがあるので、人によっては有効性は高くない気がする。
 そんなわけで、文章力をつけたいと思っている方は三ヶ月ぐらいやってみて、実際に効果があるかどうか試してほしい。
 
 けど、そんな面倒な真似をするぐらいなら、ビールを飲みながら、ビーチでナオンのパイオツを眺めてる方がよっぽどマシな人生だぜ、全く。