暴力装置っていう訳語がいけないんじゃね?

 何か「暴力装置」って単語が一夜にして今年の流行語になってしまった感もあり、「ぷぷーっ暴力装置も知らないんですかーっ。そんなもん社会学やってる奴なら常識っすよー。3×5と5×3がベツモンぐらい常識」、「いやマックス・ヴェーバーはそういう意味で使ってたんじゃないから。たこ焼きとたこ焼き器がベツモンぐらい常識だから」「たこ焼き器はたこ焼きしか焼けないけど、自衛隊は軍事侵攻以外にも災害救助とか板垣恵介の生産とか出来るから、そこでたこ焼き器を使うのはおかしいのでは? もっとフライパンとか行平鍋のほうが例えとして適切ではないでしょうか」「ってかガッちゃんならたこ焼きもたこ焼き器も食えるし、それはわざわざ区別する必要はなくね?」などと丁々発止に皆さんはしゃいでるようですが、子供の頃からみっちり帝王学を仕込まれて育った結果、立派にニートとして家庭内で帝王の座についている俺様ちゃんに言わせれば、まあ「暴力装置」って音の響きが悪いよね。
 ほら、この国を日夜支えている衆愚の方々にとって、暴力=悪って感じだし、装置=ピタゴラスイッチって感じじゃないですか。それを組み合わせたら、もうものすごいマイナスですよ、マイナス×マイナスがプラスになるってのは算数の中だけの話ですよ。現実だったらマイナスなんてどうやったってマイナスですよ。毎週親に買って来させたジャンプで『めだかボックス』読んでる俺が言うんだから間違いねえっすよ。
 だって、「暴力装置」ってあれじゃん、語感だけで言ったらすっごい頭悪そうな印象しかないんだもん。
 「お、おではこの学校でいち番けんかがつよいんだな」とか言って、雪見だいふく一つで人間の顔を全力でグーで殴りそうなバカとかについてるイメージですよ「暴力装置」って。
 「そういえば、二年ぐらい前のチャンピオンの漫画に「暴力装置」ってあだなのすっげー頭悪い不良が出てきたよ」って言ったらみんなあっさり信じちゃうよ。「出たー! 杉原二中の暴力装置、北岡君だーっ!!」みたいな台詞普通に通りそうだもん。暴力装置ってそれぐらい頭悪そうなイメージの単語だよ。それなのに「暴力装置」呼ばわりされたら、そりゃ愚民の皆さんは簡単に怒っちゃうよ。
 だからね、帝王学を学んだ僕ちゃん様に言わせれば、中途半端にマックス・ヴェーバーの訳語なんか使うから悪いんだよ。
 どうせ衆愚の連中にはマックス・ヴェーバーなんかわからないんだから、素直に原語で「Gewalt Apparat」って言えば良かったんだよ。
 「自衛隊はゲバルトアパラートである」
 もうすげえ格好いいもん。意味は全然わからねえけど。「ゲバルトアパラアアアアアアアアトオオオオオオオオ! シャイィィィィィンオォォォォォン!!」とか言っても全く違和感ないもの。意味は全然わからねえけど。
 そうすれば自衛隊の人って結構オタクが多いって聞いたから自衛官の人もきっと諸手を上げて喜んでくれるし、国民なんて皆アホなんだから「たしかにゲバルトアパラートに勝手な発言をさせちゃいけないな」「ああ、良いも悪いもリモコン次第だからな」「パイロットによって神にも悪魔にもなりそうだからな」って言って丸く収まったよ。間違いない。大丈夫。帝王学を学んだ俺だよ。ところでマックス・ヴェーバーって誰? マックス松浦の知り合い?
 それはそれとしてそんなことよりみんな!
 昨日は僕の誕生日だったんだよ! 祝って祝って! 本当は僕は皆から愛されて、誕生日を祝福してもらえるような人気ブロガーを目指していたはずなんだ、それなのに、何故こんなことに……何故……!