ガキのきもちはわかるまい

追記あり

 表現規制の話になると反対派の意見としては、「ゾーニングを徹底することで解決すべきだ」って主張が主流になるし、俺としても「そうですね。そういうのはきっちり分けて売るのが大事よね。住み分けマジ重要。子供がエロいものとか買えるのはやっぱおかしいよね」とかしたり顔で言ったりするんだけど、俺がそういうことをのたまえる背景には、俺がゾーニングされてもそういういやらし商品を店頭で買えるからってのがあって、一見良識派に思えますが、物凄いポジショントークですよ。典型的な汚い大人ですよこれは。
 中学生の頃の俺だったら間違いなくこの状況にキレてますよ。「何がゾーニングだよ! お前らばっかりずりいよ! 俺だってエロいものが見たいよ!!」っていう魂のシャウトをぶちかましてますよ。
 だって、中学生や高校生の男子って人生で一番性欲がピークに達してる時じゃないですか。風が吹くだけでおちんちんが勃っちゃうぐらいじゃないですか。ちょっと授業中寝ていて休み時間のチャイムで目を覚ましたらおちんちんが固くなっていて、しょうがないから休み時間もずっと席に座っていざるをえないっていう年齢じゃないですか。そういう子に向かって「君達にはこういうものは早い」という大人の意見を振りかざしてゾーニングだっていうのはどうなんだろう。
 いや正論なんだけど、俺はその正論にどこか居心地の悪さを感じてしまうわけであり、男子中学生なんて7割の水と6割の性欲で構成されており、足したら10割超えてるから毎日股間から白い液体を放出して帳尻を合わせるっていう生き物じゃないですか。そういう生き物に対して「ゾーニングすっからエロ本やエロDVDの視聴購入は禁止な」ってのは酷い話ですよ。これが虐待じゃなくてなんだっていうんですか。
 結局僕は思うんですよ。表現規制に関してみんな自分たちのことばかり考えていて当事者である十代の子供達のことをね、あんまり考えていないな、と。
 賛成派も反対派も「子供にこのようなものは見せたくない」「だったら子供には見せなければいい」っていうね、結局どちらも子供に見せないようにするって点では共通しているじゃないですか。
 オーケー。じゃあ子供達にはポルノから遠く離れて清く正しく健全に育ってもらおう。ところで、彼らの性欲はどうするんだい? とか思っちゃうわけですよ、子供の味方の僕としては。具体的には女子小学生から女子高生ぐらいにかけての味方ですよ。男子はどうでもいい。今すぐ皆息絶えてもかまわない。
 しかし、そんな僕だって昔は中学生の男子だったわけで、ちょっと学校から離れた古本屋に行ってエロ本をね、おそるおそるレジに持っていったりもしましたしね、多かれ少なかれ人はそういう経験を積み重ねて大人になっていくわけですよ。それが何ですか。条例で規制されているから売りませんってのはどうなんだろう。そんな規則に縛られてばかりで本当にそれは正しいのか? 僕はそんな正しさは欲しくなんてない。結局お前らは自分のことばかりで、肝心の規制される中学生のことを何も考えちゃいねえ、と。
 あの時古本屋のババアが俺にエロ本を売ってくれなければ、中学生だった頃の俺は悲嘆に暮れて死んでいたかもしれない。「僕がいまこうして生きていられるのはあの時僕にエロ本を売ってくれた古本屋のババアのおかげなんだ! サンキューババア!」…………と思ったけど、客観的に今の自分を見れば全くうだつのあがらない典型的な屑であり、もし『女郎蜘蛛―呪縛の牝奴隷達』のノベライズを買おうとする俺をあのババアが咎めていれば、俺はきっと今頃立派な大人になって、毎晩赤坂の高級料亭で芸者の胸元をまさぐっていたりしたはずではないだろうか。こんなはずじゃなかったのだ。今の俺がこんなにダメなのはあのババアが俺にエロ本を買わせたせいなのではないだろうか。あと冷静に考えたら別に俺はもう男子中学生でもないし、俺がエロいものを買えなくなったら困るので、「どうせお前ら箸が転んでも勃起するんだから、コーラの瓶とかフローリングの木目とかいちご100%とか見てシコってろよ」とか思った。男子中学生とか皆死ねばいい。

 追記
 コメント欄で指摘されましたが、本エントリの趣旨が、http://d.hatena.ne.jp/srpglove/20100417/p2とびっくりするぐらい一緒で、自分でもびっくり。
 多分、第三者に「これパクってね?」と言われたら、即座に頷いて検証wikiを立ち上げるレベル。文庫版になったら『島田荘司占星術殺人事件」のトリックを用いています』みたいな但し書きを入れないと訴えられるレベル。ディズニーだったら「『ジャングル大帝』? うちの『ライオンキング』は完全なオリジナル作品です」とつっぱねるレベル。ディズニー恐ろしい……。
 俺が上のエントリを読んでなかったら、「偶然ってのは恐ろしいもんだねえ」と済ませることもできましょうが、明らかに読んでいましたし、さっき読んだ時に素直に感心した記憶も甦りました。
 以前にこのエントリを読んで、このような問題意識に触れていなければ、今回のエントリが俺に書けたかどうかは疑わしく、そうした事に気づかず今回のエントリを書いてしまい、本当に申し訳ありませんでした。
 あと、これによって自分の記憶力の限界が半年前後ってのが客観的に示されてしまったこととか、何かもう色々残念……。