ネットの力というかベルギーの力では?

 今日は皆大好きドラえもんの誕生日ということでドラえもんの話をしていこうと思うのですが、去年公開されて先日もテレビで放映された映画『STAND BY ME ドラえもん』、皆さん知ってましたか!? 実はあれのポスターをデザインしてたのって、今話題の佐野研二郎さんだったんですよ! というわけで今日は佐野さんの話をします(超自然な導入)。
 僕は幼稚園に通っていた頃、先生の「みんなの好きなものは何かな?」って質問に「調子乗ってた奴がネットで大炎上してるやつ!」って答えるぐらいインターネットの炎上沙汰が大好きで、人生の絶頂を迎え我が世の春を満喫している人がちょっとしたやらかしで大炎上して奈落の底に落ちていく様子なんか見ると、福本漫画特有の異常に歯の本数が多い老人みたいな笑いを浮かべてしまうわけです(参考画像)。
 ちなみに二番目に好きなのがピーターラビットで、三番目に好きなのが六花亭のバターサンドです。怖いのはまんじゅうとキョンシー
 そんなわけで今回の件も終始笑顔で見守っており、疑惑の画像が一つまた一つ上がるたびにどんどん口元が緩んでしまい、ついにエンブレムの取り下げが決定したところで「いやあ東京オリンピックは楽しかったねえ。やってよかったねえ」と心地よい満足感に浸っていたわけです。
 まあ、それぐらい今回の一連のニュースにカブリつきだったので色々と思うところもあったわけですが、別にわざわざblogに書くことでもあるめえ。だってこんなblog誰も読んでないし……いまだにはてなブログじゃなくてはてなダイアリーだし……とか思ってたら、某シロクマ氏がこんなエントリを上げていたのを見て、色々ケチつけたくなったので今回更新しているわけですが、ここまで書いたところで、「えっ、この状況からシロクマ先生の暗い情念とかひっくり返すの厳しくない? ってかムリゲーでは?」と気づいたので、今までの展開は無しにしていきたい。これからの私の話はオリンピックにあまり興味のなかった一人の日本人の意見とかそういうニュアンスのものとして参考にしていただきたい。
 いや、で、まあ、暗い情念とかそういう情緒的な話は置いといて、俺ちゃんが特に気になったのは

私がおっかないと思うのは、そうしたメシウマ的なネット人民裁判が、とうとう国家レベルのプロジェクトをもひっくり返すようになった、という点だ。

 ってところで、確かに佐野氏も謝罪文で

もうこれ以上は、人間として耐えられない限界状況だと思うに至りました。

 とネットの炎上が原因で取り下げるみたいなこと書いてるけどさ、実際のところ、元々今回の件がこれほど燃え盛った決定打って、ベルギーがIOCに対して訴訟を起こしちゃったことだよね。
 確かに、佐野さんがベルギーのエンブレムをパクったという決定的証拠はない。多くのデザイナーが言ってるようにシンプルなデザインなのだから、偶然似てしまうことは充分にありうる。
 佐野氏がネットにアップされている画像を無断に使用している案件が複数見つかっており、色々疑惑の目は向けられているが、現状オリンピックのエンブレムをパクった決定的証拠があるわけではない。そして疑わしきは罰せずという原則もある。
 さて、ところでこの画像を見て欲しい。

 この画期的なロゴは先ほど僕が天から授かったインスピレーションを5分かけて描いたものだが、この超クールで斬新なロゴをプロのデザイナーに清書してもらって、カバンやお財布や筆箱にくっつけて販売しようとすると、なんだか大変なことになるような気がする。
 なんだよぉ、丸三つなんていうシンプルなデザインなんだから被ることだってあるだろぉ、この俺が作ったミッキーは完全に俺のオリジナルなの、オ・リ・ジ・ナ・ル。と滝川クリステルっぽく言い張っても、ディズニー率いるドリームチームには到底勝てそうにないね……そりゃ著作権の保護期間も延長しちゃうよ……。
 というわけで、佐野氏が実際の裁判で負ける可能性も充分にあるわけだ。
 もし、そうなった場合、当然今よりさらに短い期間で新しいエンブレムを準備せねばならず、それまでに使用した分の賠償金を払う必要が出てくるかもしれない。
 だから、今回の件でまず最初に説得しなきゃいけないのってベルギーのデザイナーだと思うわけですよ。確かにデザインに対して理解力の乏しい一般国民を説得するのは難しいかもしれない。いかなる分野であれ専門家の考えを素人に噛み砕いて説明するのは困難だ。けど、だったら同じデザインを生業にしている、ベルギーのオリビエ・ドビ氏は説得してくださいよ、と。
 そこで無事ベルギー方面の説得に成功しても世間での炎上が収まらなくて、エンブレムを取り下げるっていうなら「メシウマ的なネット人民裁判が、とうとう国家レベルのプロジェクトをもひっくり返すようになった」という意見もわかるのだけど、ドビ氏はエンブレムを取り下げた今でも訴訟を起こす気満々なわけで
 結局、一般国民ではなく、デザインに理解のあるベルギーのデザイナーを説得できない限り、エンブレムは遅かれ早かれ取り下げることになったのではないだろうか。
 今回の炎上によって、家族へのプライバシー侵害があったことや、メールアドレスを悪用されたことについては、ネット特有のいやらしさであり、炎上案件の恐ろしさ、性質の悪さだと思うけれど、その件とエンブレムを取り下げることを一緒くたにしてネット凄い。ネットヤバいみたいに語ってる人達は何か違くね? あるいは佐野氏の言い分を額面通りに受け取りすぎでは? 大丈夫? 素直すぎない? ところで絶対儲かる話があるんだけど、今度通帳と印鑑持って新大久保のルノアールに来てくれない? って思いました。
 その後に、このようなエントリを書いて、今回の件を通して炎上とそれに絡んだ集団心理の危険性みたいなことを書いているのだけど、これに関しては、これまで炎上して悲惨な目にあってきた人を散々見続けてきたシロクマ先生が、昨日今日ネットを始めた中学生みたいなことを言わんといてくださいよ……。何? カマトトぶるのが流行ってるの? 「私……実は男の人と付き合ったことがなくて……」からのベッドの上で大股おっぴろげて大陰唇とクリトリスにピアスドーンって感じっすかね、ギャップ萌えってやつっすね。
 あとシロクマ先生、もうそろそろあの青いのに対する言及の解禁時期に入りますよ、この三年でめっちゃ熟成されてますよ、アレ!
 まあ、今回のエンブレムの件に関しては、他にも「多くのデザイナーがシンプルなデザインだったら被ることもあると言っていたが、どこら辺までが被りで、どこら辺からがパクリになるという明確な基準はあるのだろうか」とか「つっても上海万博のテーマソングの時、みんな岡本真夜のパクリだって言ってたじゃん!」とか「今回の一件みたいに誰も責任取ろうとしねえ世の中で、『少年サンデーの運命の責任は僕一人が背負う』って言ってのけるサンデーの新編集長ってマジやばくね?」とか「そもそも佐野氏も佐野氏を批判していた人も組織委員会の面々もマスコミもデザイナーも一般国民もみんなインターネット使ってるんだからさぁ、今回の件みたいにネットの勝利とかネットが悪いとか言うのって何か違うのでは? 野球で例えると『試合の決定打となる一発をバットを使って打ったので今日の試合はバットの勝利です!』とか言うぐらい違くね?」とか「今回の炎上に関しては、デザイナー一人に責任を負わせて終わるのではなく、この調子で審査の不透明性とかにも切り込んでいくべきではないだろうか。いや、より公正な審査を望むとかじゃなくて、ぽっくんもっと色んなところに飛び火する光景が見たいの」とか色々思うことはあったのですが、私信を飛ばすという本来の目的が無事済んだので寝ます。