自慰行為が制限される辛さを考える

 今年に入ってから不倫に関する騒動が相次いでおり、やれCM降板だの、やれ議員辞職だの不倫に対する世間の風向きの強まりを感じる今日この頃で、不倫が週刊誌にすっぱ抜かれても動じることなく職務を全うした和田豊阪神タイガース監督のメンタルの強さを改めて思い知るわけですが、そんな最中にさらなる大物として出てきたのが、乙武洋匡氏。
 来る7月の参院選において自民党からの出馬も予定されており、東に裏切られたと嘆いている人がいれば、西ではここぞとばかりに不謹慎ジョークが爆発したりと、それぞれ色々と思うこと、言いたいことはあるのでしょうが、ここで普段ヤリチン野郎は殺せと主張してやまない私が少しためらってしまうのは、乙武氏の下半身事情がちょっと特殊というか、ストレートに言えば乙武氏ってオナニーができないじゃないですか。
 日本人男性の日々の楽しみの七割がオナニーで占められているというのはGHQの調査でも明らかですし、たとえば「もう明日のテストとかどうでもいいよ、日本史なんて赤点取らなけりゃ問題ないし…………シコるか」「ああ、もう会社辞めようかな…………よしっ、とりあえずシコろう!」みたいに気持ちを切り替えるために致したり、残業終わりの帰宅途中に夜食にコンビニ弁当を買おうとしたら、雑誌コーナーに快楽天の今月号が発売されているのを見て「よっしゃこれ買ってシコろう!」って明日への活力を得るために致したり、ダラダラ夜中までネットサーフィンやってたら、まとめサイトでグラビアアイドルの画像がまとめられてるのを見ちゃって、時計の方見てから「まだ12時か……とりあえずシコろう」ってなんとなくと致したりと、マスターベーションなくして男子の生活は成り立たぬと古事記にも書いてあるわけですよ。
 だって神様に「明日からお前オナニー禁止な」とかって言われたら、ブラックジャックばりの勢いで「神さまとやら! あなたは残酷だぞ!」って絶叫するし、「ラブドールは? ラブドールはありだよね? あれ使うのはオナニーじゃないよね」とかなんとか妥協点を探ろうとするし、最終的には体育館で「藤沢先生……! セックスがしたいです……」って泣き崩れながら、さんざん小馬鹿にしていた恋愛工学の門を叩くしかないじゃないですか。それぐらいオナニーができないってのは辛いってことなんですよ。わかりますか? うん、わかった!(裏声)
 けれども、乙武氏は生まれた頃から我々が当たり前に持っている手淫の自由を持っていないわけですよ。
 妻が妊娠したり、出産で子供の世話で精いっぱいになって夜の営みが遠ざかったことをきっかけに、他の女性に…………ってのは不倫でもっともありがちなパターンの一つで、先日辞職した宮崎議員も、今回の乙武氏もそうした流れから不倫が始まったわけですが、こういうケースに対しては「てめーが中出しキメたせいで人の親になるんだから、てめーの下半身の処理ぐらいてめーでどうにかしろよ」となるのが一般的な世間の見解と思われます。ですが、乙武氏の場合、それが自分ひとりではどうにもできないわけです。
 心無い一部の人は「手が使えないなら床オナをすればいいじゃない」とかどこぞのマリーみたいなことを言うわけですが、乙武氏があれをやってしまうと、その後のパンツの処理もままならず下半身をぐちゃぐちゃにしたままでいるしかないという不快かつ屈辱的な状況に追い込まれるわけですし、そもそも乙武氏のような人が床オナをする場合、手足に体重をかけられない分、体重が全て股間にかかって危険なのではないだろうかという識者の意見もあり、軽々しく床オナしろとはなかなか言い難い。
 このように、フルマラソンで例えると、お前だけ木靴はいて走れ、みたいなハンディキャップが課されている乙武氏ですが、そんな立場の彼が、金も得て社会的地位も得て、さらに有名人ということで女性もホイホイ近づいてくる。そんな状況になったら、そりゃあヤるだろう、と。少なくとも私が彼の立場に立った時、「そんな不誠実なことを自分はしない」と言い切る自信はちょっとありません。
 いや、そういうのはせめてプロ相手に任せようよという意見もありますが、乙武氏のような有名人、それも身体的にかなり目立ってしまう立場になると、軽い気持ちでピンサロとかに入れないわけです。この心無い世の中、隣の席に乙武氏が座ってるなんてことがあれば、退店後に、twitterとかに書かれてしまうのは間違いありません。あと、あの手の店ってバリアフリーとは縁遠いので入店のハードルが高いというのも考慮していきたい。
 しかし、それでも性欲は日々リローデッドされていくわけですが、そうした頻繁に訪れる下半身の危機を妊娠中や育児中の妻に毎度毎度頼るというのも、なかなかに負担がかかるわけで、そうなると他の女性に走ってしまうというのはわからなくもない。
 こういった具合にハンディキャップというのは目に見えるものばかりではないというのを、現在乙武氏を叩いている人にわかっていただきたい、そう思って今回筆を執った所存であります。
 それにたとえ手足がなくてもアグレッシブに女性にアプローチしてしまうというのは、彼が以前から主張していた「障碍者とは決して聖人君子ではない」という主張を裏付ける、ある意味、もっとも人間臭い過ちとも考えられるじゃないですか!

 まあ、それはそれとして、不倫を複数回重ねていたというのは、これまで彼がこれまで築き上げてきたイメージにとっては致命的で、お前どの面下げて教育者ヅラしてたんだよ、という批判は当然出てくるし、謝罪文に奥さんのコメントを合わせて掲載するという立ち振る舞いも、彼ならではのメディア戦略のいやらしさを感じ輪にかけて胸糞悪いし、今回の件に見られたガツガツした生臭い人間らしさというのは私人としてはともかく、公人の立場となる政治家にとってはこの上なく最悪なので、政界への進出は取りやめた方が関係者各位の幸せに繋がると思われます。
 これまでは多感な時期の子供がいらっしゃるということで下半身事情については色々語りづらいところもあったでしょうが、今回のようなことが周知されてしまうと、今更取り繕ってもかえって見苦しいだけなので、今後はなかなか語られづらかった障碍者の性事情なんかを当事者の視点からバンバンぶっこんだりすれば良いのではないでしょうか。
 こうした話題はホーキング青山氏とかも漫談のネタにはしていますが、知名度や発信力、社会的影響力でいうと、やはり乙武氏が頭一つ抜けていることは論を俟ちませんので、これからは『乙武 a.k.a. 純愛エロメガネ』としてより一層活動の場を広げ、今後益々ご活躍されることをお祈り申し上げます。

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